泥酔亭の成り行き日記

釣り鯛、あじ、あおりいか他宿についてひと休みしている間に雨はどんどん強くなっている。
ここ「はっとり」は漁師の宿とうたっているとおり、主人が船を持っていて、釣り目当てのお客さんが訪れる。
玄関や廊下にはたくさんの魚拓が飾られていて、その大半は鯛だったが、いわゆる目の下三寸といわれる大物ばかりだった。
女将さんの話だと昨日までそんな釣り人でいっぱいだったが、平日のせいか今日の客はわれわれだけとのことだ。
おかげでゆっくりと静かに過ごすことができる。

で、ほどなく食事の時間になり、次の間に行ってみるとそこには鯛の姿盛りをはじめ、石鯛の煮付け、さわらの酒蒸しなど三方五湖の魚介がこれでもかと並べられていた。
酒はもちろん先ほど伺った「早瀬浦」をお燗でいただく。
料理の方は旦那さんが作るというが、どこかで修行したのかと思うほど本格的な味付けだった。
とうぜん酒も大いに進み、すっかり大満足。
昨夜の「ほっこり酒場」の出来事が遠い過去のようだ。
身も心も腹もきっちり満たされて、極楽気分で床についたら、あっという間に熟睡。
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IMG_20190515_083248目が覚めると雨はすっかり上がって、窓の向こうには美しい日向湖が広がっていた。
朝食をすませ、宿をあとにしたが、とうとうご主人とは合わずじまいだった。
ってことで、本日は琵琶湖を巡って彦根に向かう。
天気は晴朗、波もおだやか、絶好のドライブ日和だ。
国道8号線を南下すること約一時間、長浜市を過ぎたあたりで右手に琵琶湖が見えてきた。
国道脇の公園に車を停め、日本一の湖にご挨拶。
竹生島や浮御堂など立ち寄りたいところもいろいろあったが、今回はパスして彦根に向かう。
また機会があれば、琵琶湖を一周するのも楽しいかもしれない。
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今夜のお宿は彦根城下花しょうぶ通りにある「鳥羽や旅館」
料理屋として創業したのは江戸時代、その後明治十三年から旅館として営業している。
宿へ行く前に、彦根にも名水の湧き出ている「十王村」というところがあるらしい。
すっかり名水マニアになったマダムに教えると、ぜひ訪れたいという。
ナビに住所を入力して向かったが、どう見ても住宅地のど真ん中
ほんとにこんなところに名水が湧き出ているんだべか?
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wst1803020120-p1雷鳴の轟く中、車中でマダムに「鵜ノ瀬」をかんたんにご説明する。
鵜の瀬のある遠敷川(おにゅうがわ)の神様が釣りにかまけて、奈良東大寺の二月堂建立に間に合わなかったため、お詫びのしるしに毎年「お香水」を送る約束をした。
3/2の夜、白装束の僧たちが神宮寺の井戸から汲んだ「お香水」を遠敷川に流し、この水が十日間かけて奈良東大寺にある二月堂の若狭井に届くという。
東大寺では毎年3/12にこの「お香水」を汲むお水取り神事が行われている。
と、にわか御神水マニアにレクチャーしているうちに、ポツポツと雨が降り出してきた。

鵜の瀬は想像していたよりも開けた明るい感じで、風通しのいい清らかなところだった。
DSC00761ひとしきりあたりを散策して、ここでも御神水を少しいただく。
なぜこれほど水に興味が出てきたのかと思い返したところ、どうも2017年の静岡旅行のさい富士山の伏流水を飲んで、あまりの美味しさに感激したのがきっかけのような気がする。
それから旅に出るときは必ずのように、水に関する場所を盛り込んでいる。
いよいよ雨脚も強くなってきたので、遠敷明神を祀るお堂に参拝して、鵜の瀬をあとにする。

今夜の宿は、三方五湖のひとつ日向湖(ひるがこ)湖畔にある「漁師の宿はっとり」。
その前に近くの温泉「きららの湯」に寄ることにした。
さて入浴!と思って、二階に上がるとそこにはなんと「鍼灸」の文字が・・・。
マッサージやカイロは見たことがあるが、温泉に鍼灸があるのは珍しい。
ってことで、自宅で灸をするほどの鍼灸マニアのマダムはさっそく施術していただくことした。
思いのほか雨で体も冷えていたらしく、温泉がことのほか体に染み渡る。
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IMG_20190514_162748鍼灸だの温泉だので英気を養ったあと、すぐさま宿屋に直行したいところだが、その前に近くにある「早瀬浦」の酒蔵を訪ねることにした。
ナビを頼りに近くまで行くと、車一台がやっと通れるような道しかない。
付近をぐるぐる廻ったあげく仕方がないので、雨の降る路地を歩いて探すことにした。
しばらく歩くと細い道の向こうに高い煙突がそびえている。
ここに違いないと、車に戻り車幅ぎりぎりの道をなんとかして早瀬浦酒造に到着。
時間も遅かったので、酒蔵の仕事は終わっていたが、社長さんからいろいろな話を聞くことができた。
北海道でも早瀬浦が買えることを言うと、「どこから廻っていってるんだろう?」と、不思議そうにしていた。
ふと蔵の方を見ると、そこには外人さんが一人蔵人に混じっていた。
ここ数年外人さんの蔵人も増えているという。
そこらへんも聞きたかったが、あまり長居をしてもいけないので、四合瓶を購入して蔵をあとにした。
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さ、今夜はフィリピン居酒屋にハマる心配もなく、若狭の海の幸で一杯やるとするか。
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IMG_20190514_103808今日は昼過ぎから天気が崩れるらしいので、屋外で行きたい場所には午前中に廻ったほうがよさそうだ。
まず第一の目的地は「瓜割の滝」
なぜかここ数年、水の名所に惹かれる。
で、敦賀を離れる前に腹ごしらえをしておこうと、道路沿いにあったレストランのようなところに何も考えずに飛び込んだ。
さて、何を食おうかと考えていたらウェイトレスがやってきて「イラッシャイマセーせぇ」と聞き覚えのあるタガログ訛り
一瞬昨夜の「ほっこり酒場」に舞い戻ったような錯覚に見舞われたわ。
なんで敦賀にはフィリピン女性がこうも多いのだろうか?
原発マネーが飛び交っていた頃の置き土産なんだろうか。

IMG_20190514_104628ま、それは置いといて「お得」と書かれている「地元の定食」を注文。
地元のお米「イクヒカリ」を使った「へしこのおにぎり」・・・。
頼んだあとメニューを見直して不安になったが、出てきた「へしこのおにぎり」は予想通りの微妙な代物だった・・・。
「今日はしじみがないから、アゲにシタよ」と一方的に変更された味噌汁で、なんとか「へしこのおにぎり」を流し込んで、店を出た。
さ、気を取り直して出発!と思い、店の看板を見て吹き出した。
さきにこの看板を見てたら入らなかったのに・・・・。
ってなことで、「話のタネになってよかったじゃないか」と無理やり笑い話にして、瓜割の滝へ向かった。
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DSC00748三方五湖を右手に通り過ぎ、若狭町へ向けて車を走らせること40分、瓜割の滝のある天徳寺に到着。
神社に興味はあるが、なぜか仏閣には興味がわかないので、天徳寺を軽くスルーして瓜割の滝へ向かう。
ここも泰澄大師が開いた聖地だということだ。
大師がみずから刻んだ馬頭観世音像を安置しようと、神水を探していたが見つからないので、ある岩の上に置いて嘆いていたところ、八大龍王の化身が現れ、岩が割れ神水が吹き出したという。
あたりはじつに神さびた雰囲気が漂い、古びた鳥居がひとつ建てられ、水の流れる音だけが響いている。
ここでも御神水を汲んで、次なる目的地「鵜ノ瀬」に出発。
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少しずつ雲が出て、風も吹き始めてきた。
ここから鵜の瀬までは30分もかからないようだ。
それまで雨よ降らないでくれ!と、運転しているそばから、空では雷が鳴り出した
風雲急告げて・・・るのか?
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