泥酔亭の成り行き日記

2015年07月

pic09_01「裏切り」「根回し」「捨て石」「ろくでなし」
あまり印象の良くないこれらの単語が、造園の方から来ていると、このあいだ読んでいた本で知った。
大きな枝を切るとき、ただ上の方からだけ切っていくと、枝の重みで裂けてしまうことがあるので、裏の方にも切込みを入れることがある。
これが「裏切り」。
「根回し」は説明するまでもないだろうし、「捨て石」といわれる石があるからメインの石が光る。
主役の石を生かすも殺すもこの捨て石の配置ひとつだという。
なんとも含蓄のある言葉ですな。
そして「ろくでなし」だが、ふつうは「碌でなし」と書くが、本来は「陸」と書いて「ろく」といっていた。
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そういえば、
「ワイルド・セブン」のリーダーは「飛葉大陸」と書いて、「ひばだいろく」っていってたっけ。
「陸」は平らにする、水平にするという意味で、ろくでなしとはまっすぐでない、平らでないという意味だそうだ。
若い頃からさんざんいわれてきた言葉だけど、まさか造園の方から来ているとは、ちーとも知らなかったわ。

とまぁ、ためにもならないウンチクをひけらかしてしまったが、話しはまた宍道湖へと粛々と戻っていく。
おみやげを買い込んだわれわれの目に飛び込んできた、風になびく一枚の暖簾。
すわ!しじみを食わせる店かと、よく目を凝らしてみたらそこには「う・な・ぎ」の三文字が・・・。
空腹状態のマダムがこれを見過ごすはずはなく、「うなぎも宍道湖の名産でしょ!」との鶴のひと声で、本日のランチはうなぎに決定した。

oohaka「大はか屋」という珍しい店名は、駐車場にある大きな墓に由来している。
なんでも宝永六年(1709年)宍道湖で、68人を載せた船が遭難し、41人が亡くなったった。
そのうち身元の分からない23人を地元の人達が大きな墓を作り供養した
大きな墓の隣にあるから「大墓屋」と名乗っていたが、「大ばか屋」というものもいたので、ひらがなになおしたという。
ってなことを書いた由来書きを読んでいるうちに、香ばしい湯気とともにやってきましたホクホクのうな重。
関東風の蒸しをかけたうなぎも旨いが、蒸さずに炭火でパリッと焼き上げる関西風も独特の味わいがある。
帰ってきてから、調べたところここ「大はか屋」は松江でも指折りの美味しい店だという。
さすがマダム、ナイス・セレクトですな!
たいへん美味しうございました。

宍道湖のうなぎを存分に堪能して、凸凹夫婦は一路鬼太郎の待つ「妖怪ロード」を目指すのであった。
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P_20150519_103147_HDRさて、ミチロウさんの復活を祝ったところで、またぞろ旅日記の続きを書くことにしよう。
こうしてふりかえるとわずか5日感の旅とはいえ、なかなかに濃い毎日であった。
広島から、岩国のある山口県に少し足跡をつけ、出雲大社のある島根県へ。
ここまで来たらぜひ鳥取県にも足跡を残したいものだと思ったが、砂丘まで行くにはかなりの距離があり、マダムの「砂でしょ」のひとことで、今回は断念することにした。

e0244264_23511336しかし、地図を眺めていると、水木しげるの「妖怪ロード」でおなじみの境港市は、ギリギリ鳥取県ではないか。
これなら宍道湖を横断したついでに足を伸ばしても、それほど遠くない。
子供の頃から、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」など、水木漫画にお世話になったものとしては、相手に不足はない。
マダムの「どっちでもいい」という目つきをよそに、車は一路宍道湖へ。P_20150519_120734_HDR

 目の前に突然現れた宍道湖は、想像していたよりもずっとデカイ湖だった。
マダムがネットで調べたところ、全国で七番目に大きい湖だという。
ついでといっちゃなんだけど、大きい方から琵琶湖、霞ヶ浦、サロマ湖、猪苗代湖、中海、屈斜路湖、そして宍道湖ってわけだ。
まぁそんなことよりもマダムの関心事はただひとつ。
宍道湖といえば、もうおなじみの「しじみ」
どこかで美味いしじみの食えるところはないかと、さっきから熱心にスマホを覗いている。

img_sijimi05ふとみると、前方にAコープの看板があったので、おみやげものでも買おうと寄ってみることにした。
そこで珍しい地酒や、しじみ汁などおみやげを購入し、表に出ると一軒の飲食店が目に入り、紺色の暖簾と旗が風に揺れている。
さては、美味いしじみを食わせてくれる店かと、目を凝らしてみた。

で、またもやついでといっちゃなんだけど、宍道湖は海水と淡水が交じり合った汽水湖のため、魚種も豊富で、実にたくさんの種類の魚が取れる。
漁獲の九割を占めるしじみをはじめとして、スズキ、モロゲエビ(ヨシエビ)、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シジミ、コイ、シラウオを「宍道湖七珍」といっている。
ちなみに覚える時は、それぞれの頭文字を取って「スモウアシコシ」と覚えるらしい。

さて、宍道湖のしじみはいかなるお味か?

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b456675e一昨年ミチロウさんが心膜炎で入院したと聞いて心配していたが、その後手術も無事成功したと聞き、安心していた。
去年の3月頃、頭脳警察の石塚俊明さんに電話して、ミュージック・ハーベストに頭脳警察で出演してもらえないか?というと、自分としてはできればミチロウさんとのユニット「NOTARINS」で呼んでもらいたいという。
じゃあ、ミチロウさんにあらためて連絡しようと思っていたところへ、再度体調を崩したという話を聞いた。
「アピア40」のマスターに聞いてみたところ、とてもライブが出来る状態ではないとのこと。
携帯にも出ないので、心配だったがしばらく様子を見るしかなかった。P1080975_2
それからしばらく音沙汰がなかったが、今年のはじめ「アピア40」でライブをやり始めたとの噂を耳にして安心していた。
そして7/5 、ついにミチロウさんのディランでのライブが実現した。
二ヶ月近い入院のせいか、薬の副作用のせいか、ちょっと顔がふっくらしたように感じる。
長い間続いていた不調の原因は、膠原病の一種「全身性エリテマトーデス」だった。
これは自分の免疫が自分の体を攻撃する自己免疫性疾患だ。
軽いところでは花粉症からアレルギー性鼻炎、ギランバレー症候群、重症筋無力症など命にかかわるものもある。
全身性エリテマトーデスも現在のところ、薬で症状を抑えるしかなく、ミチロウさんP1090334免疫抑制剤や抗癌剤など6種類の薬を服用しているという。

しかし、話してみるといつものミチロウさんで、とてもそんな病気を抱えているようには見えない。
そしてライブもいつもどおりエネルギッシュで、素晴らしいものだった。
「ライブが出来ないことより、ツアーに出られないほうが辛かった」というほど、旅の好きなミチロウさん。
体全体で旅とライブを楽しんでいる様子だった。

アンコールではとつぜん「はいっ!チュウさん出番ですよ」といわれて、ジャンベを叩く羽目になってしまったが、ミチロウさんのツアー再開を祝って、おもいっきり叩かせてもらった。
今年のお盆は福島の小さな村で、盆踊りをやると張り切っていた。
いつも遊び心を忘れず、人を驚かせることが好きなミチロウさん。
でももう病気で驚かせるのはナシでお願いしますよ。
 
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eriひとしきり騒いで「縁」を出る頃には、雨もすっかり上がっていた。
いつもなら勢いをつけて、もう一軒と調子に乗るところだが、明日のお参りを考えておとなしくホテルに帰った。
なにしろ大社中の大社、出雲大社だもんね。

もともと大社(おおやしろ)といえば出雲大社のことをいっていたが、戦後旧官幣大社や旧国幣大社など大社格の神社が大社を名乗りだしたってんだから、出雲大社以外は大社「風」ってわけだ。
その本家本元、大社中の大社に参詣するってんだから、身も心も引き締まるってもんだ。

さて翌日窓を開けてみると、昨日と打って変わってぬぐったような青空。P_20150520_083215
地元の酒がよかったのか、あれだけ呑んだのにまったくの二日酔いなし
さっそくナビを頼りに出雲大社へ向かうと、道の向こうに大鳥居が見えた。
それをくぐって駐車場に車を停め、二の鳥居へ向かう。
朝早くだってぇのに、境内にはすでにたくさんの人たち。
P_20150519_101957_HDR日本一と言われる大注連縄は、このあいだの厳島の大鳥居に負けず劣らずの貫禄だ。
やはり理屈はどうであれ、デカイってだけで「すごい!」ってな気持ちになるね。
しかも言い伝えによれば、出雲大社の高さは今よりずっと高く三丈(96.8m)もあって、雲太(出雲大社)和二(東大寺大仏殿)京三(京都御所)と古代の巨大建築のトップを誇っていたという。i320

境内に日の丸が掲げられていたが、ガイドさんの話を立ち聞きしたところ、あの高さが太古の出雲大社の高さだという。
f4f46c87-s拝殿の大注連縄もデカかったが、参詣客の話を立ち聞きしたところ、となりの神楽殿のほうがもっとデカイというので、行ってみるとやはりさらにデカかった。
なにしろ長さ13mに重さが5tってんだから、半端じゃないデカさだ。
出雲大社には色々と不思議な話があるのだが、それは興味がわいた時に調べてみると面白いかも・・。
一度この目で見たいと思っていた出雲大社は、さすがの存在感だった。
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もっともマダムの興味はもっぱら出雲そばの方に向かっていたらしい。
で、瀟洒な佇まいの一軒を選んで出雲そばを堪能して表に出てふと暖簾を見るとそこには「いとう」の文字が。
われわれの苗字と同じとは・・・。
つくづく出雲は縁結びの里であった。

さてと、今日は一日中天気が良いそうだから、いっちょう宍道湖のあたりでもうろついてみるとすっか!
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