泥酔亭の成り行き日記

2015年09月

稲佐の浜を後にして、途中道の駅やみやげ物屋をひやかしながらゆっくりと広島へ向かった。img84588cd14jfl5o
途中名前は忘れたが、ちょいとした渓谷が見どころだってんで、車を狭い脇道に乗り入れた。
しばらく走ると、道の真中でうずくまっている動物がいる。
きつねかたぬき?と思ったら、なんとそれは野生の猿であった。
初めて見たわ、野猿・・・。
で、肝心の渓谷の方はってぇと、わざわざ回り道までするほどのものではなかった。

P_20150520_152246そんなこんなで狭い山あいの道をひた走っていると、急に視界がひらけて広島の街に到着。
やっぱり都会だわ、広島シティ
レンタカーを戻し、チェックインを済ませて路面電車で繁華街へ向かう。
運転さえなけりゃ、昼間っから一杯やりたいのが呑んべえのサガというものだ。
こぎれいなアーケード街を散策するが、どこも今風で酒飲みごころをくすぐらない。P_20150520_153726ここは一番、広島名物のお好み焼きでハイボールでも呑んでやろうと、
ネットで検索すると吉田拓郎ゆかりの店が近くにあるらしい。
そこ「ふみちゃん」で、初めて広島風お好み焼きなるものを食べたが、クレープのような薄い生地に炒めた野菜などが挟まっていて、思っていたほどボリューミィではなく、酒のつまみとしてはちょうどいい感じだ。
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ほろ酔い気分で町をふらつき、ふと路地裏の方に目をやると、なんとも昭和な風情の食堂があった。
店の前には「大サービス ビールセット」などという魅力的なうたい文句。こんな誘惑を素通りするわけもなく、迷わず突入。
P_20150520_163249マダムはガラスケースに入っている刺身盛り合わせと、浅漬も注文。すっかり本気モードだ。
みよし食堂」の冷奴とサバの煮付け、しっかりと堪能させていただきました。

さ、長かったようであっという間のような中国地方の旅も、もうラスト一日
今回もなかなかに濃い旅であった。
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5seckここ数日、秋も深まり朝晩冷え込むどころじゃなく、朝から晩まで寒くなってきた。
暑さ寒さも彼岸まで」とかいうが、北海道じゃ暑さもせいぜい重陽の節句ぐらいまでだ。
それにしても五節句の中ではなぜかマイナーな重陽の節句。
「陽」の極みの数「九」が重なるおめでたい日なのに、なんでだべ?
菊の愛好家ぐらいにしか話題にならんもんね。

P_20150520_080234とまぁ、重陽の節句問題はこっちにおいといて、またぞろコリもせずに旅行記の続きといってみよう。
「縁」のママさんたちとしばし歓談したあと、その夜は早めにホテルに戻った。
なんてったって明日は出雲大社に朝詣りに行かなくっちゃいけない。
酒はやっぱりほろ酔いぐらいがいいね。
これからは分別のある大人の飲み方をしなくっちゃ。

で、早朝とはいかないが、われわれにしては相当早起きして出雲大社へ向かった。
今日も天気がよく空はぬぐったように晴れ渡っている。
ところが出雲大社の鳥居をくぐってみると、大社の上だけに黒い雲が厚く覆いかぶさっている。
うしろを振り向くと、抜けんばかりの青空。
さすが八雲立つ出雲の大社
参拝を終えて鳥居をくぐって大社の方をふりかえると、まるで何もなかったかのように雲は消えていた。
なんとも神秘的な姿を見させていただきました。

P_20150520_091147さて、広島に戻る前にぜひもう一ヶ所みておきたかった「稲佐の浜」。
以前出雲王朝の末裔という人のことを書いた本を読んだが、国譲りが行われたというこの稲佐浜に立つと、血が沸き立つように怒りがこみ上げてくるといっていた。
国譲りの際、数多くの出雲人がこの浜で虐殺されたという話だった。
真相を知ることはできないが、この浜を見ていると古代に引き戻されるような気になる。
天孫族とはどんな人たちで、出雲族とはどんな歴史を歩んだ人たちなのか?
出雲大社の不思議な造りといい、出雲はまだまだ奥が深そうだ。
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アディオス出雲!また来る日までさらば。
さて旅はいよいよ終盤に突入
広島に向かってレッツゴー!
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P_20150519_173746_HDR朝晩どころか、昼間も涼しくなってきて、こりゃあいよいよ秋も本番のようだ。
そんなときに春先の旅行記をだらだらと書いているのも、いかがなものかと思うが、今まで最後まで書いた旅行記がないので、今回は最後まで書いてみたいと思っている。

ってことで、玉造温泉を出て、宍道湖畔を出雲市に向かって車を走らせたが、こういう時に限って陽はなかなか沈んでくれない。
車を停めて、自慢の夕陽なるものを待っていようかとも思ったが、風呂あがりの一杯も呑みたいし・・・などとウダウダ走っていたら、いつのまにか宍道湖から離れてしまった。
ご自慢の夕陽はまた今度までおあずけだな。

宿に戻って少し休んで、駅前の居酒屋でちょいと喉を湿らせる。
そこでは「静岡フェア」なんてのをやってたが、わざわざ出雲で静岡を堪能するのもなんなので、スルーさせていただき、昨夜お世話になった「縁」へ行くことにした。
やっぱりここは縁の町、出雲だもんね。

P_20150519_212203_HDR昨夜はあれだけ賑やかだった常連さんも、騒ぎ疲れたのか今日はまだ誰もいず、店内は静かな雰囲気だったので、ママさんやちいママさんとゆっくり話をすることができた。
ちいママさんも以前は店をやっていたというが、プロのソリストだった娘さんが二十代の若さで、巡業先のドイツで脳梗塞で倒れたのを機に店を畳んだ。
医師からは90%意識は戻らないといわれたが、奇跡的に回復したという。
P_20150519_212817_HDR身体に障害は残ったが、命が助かっただけでもありがたいと語っていた。
そしてこれも「出雲の神様のおかげだ」といっていた。
昨日の常連さんたちもそうだが、地元の人達が出雲大社に寄せる心は強いものがある。
本当に心の底から出雲大社を敬い、誇りに思っているのが伝わってくる。
カタチではなく、心の拠り所としての信仰というのはこういうものかと思った。
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そういえば、ご近所さんからいただきものをした時、ママさんたちが話していた言葉がひとつも理解できなかった。
「いまのは出雲弁ですか?」と聞くと、「そうよ。私たちが出雲弁でしゃべったらお客さんはぜったいわからないわよ」といって笑っていた。
そうか・・・そういえばネイティブの出雲弁を聞くのを忘れていた。
隠れ方言マニアを自認するものとしては、あるまじき失態だ。
遅ればせながらこれから少し勉強することにしようっと。

さて明日は早起きして、出雲大社にお参りして、広島に戻るぞ!
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季節にも四季があるように、人生にも一定の波があるようだ。you
◯◯酒のCMでは「男は8の倍数 女は7の倍数 体に変化が現れる」なんてなことをいってたし、神道でも厄年なんてことをいってお祓いしてくれる。
で、なにがいいたいかってぇと、8の倍数であるところの56。
御歳五十六歳を迎えたわが身にも、色々と体調の変化が訪れている。
振り返ってみれば、歯の治療も8年ごとに大きな節目があったような気がするし、このごろは目の方もかなり怪しくなってきた。
これも老いの入り口ってことだべかね。
さいわいってわけじゃないけど、毛髪の方は今のところ変わりないのが救いか。

20110205131450c7eが、ここ数日歯の方の調子がなんともかんばしくない・・・。
歯の調子が悪いと、なにを食べても美味しくないので、手は自然とアルコール添加の流動食に伸びていく。
アレは噛む必要がありませんからね。
で、一杯が二杯、二杯が四杯と盃を重ねるので、歯のほうがいっこうに良くならないという悪循環
馬鹿は死ななきゃ・・ってやつである。
さらにマダムも7の倍数である◯◯歳
夫婦そろって体の曲がり角・・・無理は禁物だなぁ。

そういや、このあいだ図書館で「飲んべえの品格」という本を借りてきた。
オビには「酒にまつわる、名言、名句、ことわざ、名歌、名詩、古今東西の品格ある飲んべえたちが説く、酒の楽しさ、素晴らしさ、そして自己弁護と言い訳」と書いてある。
この編者の祖父はかなりの大酒飲みで、「財産持ちだったがひと山飲みつぶした」ほどの酒豪だったらしい。
それにしても飲んだ単位が「山」ってのもすごいね。

今も酒豪といわれる人はいるが、なんだか昔の人のほうがスゴイ話しが多い。suisin_taikan_mein1
五代目古今亭志ん生も大酒飲みといわれていたらしいが、「それほど量は飲まなかった」という話もある。
その志ん生にしても、毎日必ず一升は飲んでいたという。 
広島の名酒「酔心」を愛した日本画家の横山大観毎日二升の酒は欠かさなかったというし、上杉謙信も梅干しだけをつまみに、二升の酒を飲んでいたらしい。
20120429_0052が、なんといっても横綱は江戸時代、両国柳橋で行われた大酒飲み大会で優勝した「鯉屋利兵衛」という人。
なんと一斗九升五合を空けたというからすごい!
もっともその場で倒れ、起きてから茶碗で水を17杯飲み干したってえから、どんな胃袋をしているものやら・・・。

なにやら旅行記の続きでも書こうとしてたら、いつのまにやら酒の話になっていた。
昨夜の酒の残りが書かせたんだべか?
ま、成り行きってことで、最後に古今亭志ん生のありがたいお言葉をひとつ。
「酒はいいよぉ。金のあるやつもないやつも、おんなじに酔わせてくれるからねぇ。
あいつは貧乏だから酔わせねぇ!なんてことはいいませんからね」
へい!おあとがよろしいようで・・・。
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