泥酔亭の成り行き日記

2016年12月

BYr5ue7CYAAFqZI根拠のまったくない伴天連のお祭り騒ぎも、若いうちは便乗して大騒ぎしてたが、さすがにここ数年は意識もしなくなった。
で、いつのまにか終わっているというパターンだ。
中東のあたりで二千年以上も前に生まれた大工のせがれの誕生日を、極東の島国で大騒ぎするってのも考えてみりゃおかしな話だ。
しかもカトリックに入信してるってのならまだしも、騒いでいるのは圧倒的にキリスト教とは関係のなさそうな連中ばかり。
便乗して商いになるならまだしも、いまのディランでクリスマスを騒ごうなんて酔狂な人は、もうほとんど見かけない。
今年もそんなひねた連中で、冷酒を飲みながら、天皇誕生日について語る夜となった。

ザビエルさて、そんなクリスマスだかオバンデスだかわからないどうでもいい夜に、へべれけになって見た夢がすごかった。
といっても、さんざんこき下ろした罰で、キリストの代わりに十字架にかけられたとか、頭のテッペンがフランシスコ・ザビエルみたいになったとかいう夢じゃない。
夢の話といえば、以前ディランにストーンズがやって来たなんていう、目が覚めてからも心臓がドキドキするような夢をみたが、今回登場したのはアノ!ノーベル文学賞受賞者ボブ・ディラン

夢の話をすると、某S鮨のママにまた笑われるかもしれないが、あまりにリアルだったので、書くことにした。
場所は東京ドームあたりの一室。
控室から廊下を渡った先に、開演前のボブ・ディランがリハーサルをしているから行ってみろと、言われて半信半疑でドアを開けた。
するとそこにはギターを下げて歌うボブ・ディランの姿。
しかも、コーラスをしているのは、今年鬼籍に入られたあのデビッド・ボウイ
12e9f61dさらに横でギターを弾いているのは、まだ鬼籍に入っていないストーンズのロン・ウッド

曲はなんだか聴いたことのない曲だった。
ボブが「OK、あとは本番でよろしく」かなんかいって、去ろうとしたとき、ふと前のテーブルに置いてあったレス・ポールが目に止まった。
なにを思ったか、そのレス・ポールを手に取ってディランに「Give Me This Guiter」と言ってしまった。
すると、ディランはいつもの、笑ってるんだか怒ってるんだかわからないような表情で、かすかにうなづいた・・・ように見えた。
ディランがレス・ポールを弾いているところなんて、見たことがないのに、なぜレス・ポールだったんだべか?

うしろからだれか追いかけてくるんじゃないだろうかと、ドキドキしながらもらったつもりのレス・ポールをぶら下げて廊下を小走りで歩いているところで目が覚めた。
手にはしっかりとレス・ポールの重さだけが残っていた。

もしかしてこれは、毎年ぐだぐだと御託を並べる不信心者に対して、キリストからの改宗せよとのお告げなのか?
改宗する気はさらさらないが、いちおうお礼だけは言っておこう。
ジーザス・クライスト・スーパースター!ハレルヤ!
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P_20160912_210959ふだんは不信心のくせに、奈良の天河神社を訪ねて以来、神社の佇まいが好きになり、旅に出るとその土地の神社を見て回るのが恒例になってしまった。
ってなことで、ここ宮崎でも、鵜戸神宮、青島神社、宮崎神宮と三社を廻った。
レンタカーを返却し、いったんホテルに戻って、宮崎最後の夜を楽しむべく、雨上がりのニシタチへ出かけた。
目指す「北のきつね」は、まだ開いてないかもしれないってんで、軽く居酒屋で底を入れとこうと、近くの「たちばな水産」なる店に飛び込んだ。
ここがまた大当たりで、酒も大好きな「黒龍」や「五凛」なんぞも揃っている。
が、やはりここは地元宮崎の酒でいってみようってことで、日向灘の活鯛の刺し身や、サザエのつぼ焼きなんぞを肴に「千徳」「菊初御代」をいただく。

カウンターの向こうにいる坊主頭の従業員が、「どちらからいらしたんですか?」と聞くので、「北海道から希望と太陽のロックフェスに行くためにきた」というと、びっくりしていた。
P_20160912_203546「ディラン」というライブ・バーをやっているというと、自分の名札を指さしたので見ると、そこには「ボブ」と書いてある。
「海外からの出稼ぎか?」というと、生粋の宮崎っ子だという。
これもなにかの縁なので、「北海道に戻ったら、糠サンマ送ってやる」という話になった。
案の定、糠さんまや糠にしんのことは知らなかったようで、「どんな味かまったく想像がつきません」といっていた。
もしかすると、今ごろニシタチあたりに密かな糠さんまブームが起こってたりして。
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P_20160913_000046もう頃合いもよかろうってんで、ボブに別れを告げて「北のきつね」に入店。
こぢんまりした清潔感あふれる店内には、割烹着姿の女将さんと、娘さんがいた。
O浦くんとのいきさつを話し、芦別から来たというと、喜んで歓待してくれた。
おとなりの常連さんから、北海道では見かけない芋焼酎「木挽ブルー」なる酒をすすめられて飲んだが、蕎麦焼酎で有名な雲海酒造が作っているだけあって、あっさりと飲みやすい。
おつまみも北海道のものが多く「ししゃも」「鮭とば」「ホッケの開き」のほかにも「ジンギスカン」まであるには驚いた。
わざわざ松尾ジンギスカンから仕入れているとのことで、松尾の社長さんがお礼に来たこともあるといっていた。
女将さんは、野花南の出身で、二十代前半にこちらに来てそれからずっと宮崎に暮らしているという。

落ち着いた雰囲気の中で味わう、美味しい酒と料理と会話は格別で、宮崎最後の夜にふさわしい時間を過ごすことができた。
ゆったりと落ち着いた風情の町、宮崎。
ぜひまた訪れたい町だ。
今度は必ず高千穂峡に行くぞ!
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ってことで、なんとか今年中に書き終えることができた。
さて来年はどこに行ってみるべか?
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P_20161218_21544012/18上富良野のアコースティック・デュオ「シュマリ」のご夫婦が、遊びに来たいというので、楽器のできる人間を集めて、ジャカジャカと適当に遊ぼうということになった。
ってことで、とりあえずライブの常連O氏と、気鋭の青年実業家Nに声をかけた。
O氏はアコースティック・ギター、Nはベースを弾く。
ドラムをセットするのも大変なので、リズム系はジャンベとタンバリンにした。

シュマリの方は、SNSを通じて酒屋のTちゃん夫妻に声をかけ、Tちゃんは音楽仲間の「楽器〜」を誘った。
bonen01「楽器〜」はお向かいに住むビートルズ好きのギター・マニアMちゃんご夫妻を誘い、自分のバンドのボーカルEちゃん夫妻にも声をかけた。
ちょうどその頃店に来ていたE籐くんとHくんに声をかけると、E籐くんはカホンを、Hくんは三味線とクラリネットを持参して、参加してくれることになった。
こちらとしては、当日どれぐらいの人が来るのかまったく把握しておらず、適当にセッションでもしようぜ!というノリだった。

開店してしばらくすると、続々とみんなギターやアンプを下げて、集まりだした。
E籐くんは同じ職場のギター青年N出くんも誘ったという。
で、集まった音楽好きは総勢15人
その中で楽器を弾かないのは4人だけというミュージシャン過密状態だ。
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P_20161218_223328とくに曲も決めていないので、最初はダラダラと音合わせなどをしていたが、ここは主賓である「シュマリ」に先陣を切っていただくことにした。
さすがライブに慣れているだけあって安定の演奏で会場を和ませてくれた。
お次は、エピフォンのエレアコを持参したN出くんの登場。
なにやら秦基博?のヒット曲らしいが、昨今の流行り歌はしらないのでよくわからなかったが、透明感のある歌声に女性陣はうっとりと目をうるませていた。
で、今回のダークホースHくんは、三味線を抱いて登場
「会津磐梯山」「秋田ナット節」などで、会場を沸かせに沸かせた。

そして満を持して、楽器〜、Eちゃん、Mちゃんの即興トリオで、クリスマス・ソングなんぞを小粋にご披露。
遅れてやってきたベースマン・Nもベースを弾くより、ふだんのストレスを発散させるように、シャウトしている。
とまぁ、そのあとはセッションのようなライブのような、宴会のようないろんな楽器と笑い声の響くよくわからない時間が過ぎていき、真夜中を過ぎてようやく解散。

それにしても、よく笑い、歌い、飲みまくった夜だった。
次の日、参加していたみんながSNSで「忘年会」と投稿していたが、あれは忘年会だったのか?
ま、行き当たりばったりのいかにもディランらしい年の瀬の一コマだった。

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epo7738910754一晩中降っていた雨は、朝になってもまだ降り続いていた。
だが今日は宮崎滞在中唯一のレンタカーでの観光なので、少々の雨でも心配ない。
おまけに今回のレンタカー業者は、ホテルまでの送迎付きなので、昨日のように歩くこともない。
迎えに来てくれた人に「高千穂峡まで行くとどれぐらい時間がかかりますか?」と聞くと、片道3時間以上はかかるというし、車を降りてからも歩くことになるので、この天気だとよした方がいいという。
雨の高千穂峡もそそられるものがあったが、根が貧乏性なので、高千穂一ヶ所に絞るより、あちこちを見物しようということになった。

P_20160912_105441まずは、お客さんから「是非に!」と薦められていた「鵜戸神宮」を目指すことにした。
車で町を抜けると、左側には雄大な日向灘が広がり、往年の新婚旅行のメッカ日南海岸が見えてきた。
途中から雨も上がり、太陽も顔をのぞかせはじめた。
鵜戸神宮は、海岸縁にある天然の洞窟の中に本殿があり、参拝するには長い石段を下っていく、神社としては珍しい「下り宮」になっている。
海の方に目を向けると、珍しい形をした岩がたくさんそびえている。
境内には優勝したばかりの広島カープの歌が流れていたが、ここ日南はカープのキャンプ地でもあるそうだ。
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P_20160912_121009で、お参りを済ませたあと、昨日は行けなかった青島神社へ向かった。
車に乗るとパラパラと降りだすが、降りる頃には雨は必ず止む。
どうやら、日向の神様たちには嫌われてはいないようだ。
青島神社は文字通り、岸から離れた小島にある。
いまは橋をわたって参拝するが、その昔は船で渡ったそうである。
しかも江戸時代までは、一般人は禁足地として上陸を許されていなかったという。
本殿の奥に元宮という本来の社地があったが、鬱蒼とした森の奥で、皇族が深夜に祈りを捧げていたとか。
古代の信仰の原型が見えてくるような不思議な空間だった。
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P_20160912_121934島へ渡る途中の奇岩「鬼の洗濯岩」を眺めながら、小さな商店街を散策して宮崎市街に戻り、ものはついでってわけでもないが、宮崎神宮にも参拝した。
祭神は神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)、いわゆる神武天皇だ。
神武天皇というと、奈良の橿原神宮が有名だが、ここは神武東征以前に宮を営んでいた地ということだ。
地元でもこの神社は「神武さま」と呼び親しまれているという。
社殿も神宮の名にふさわしいそれは立派な風格のある姿をしていた。

さて、ここまで念入りにあちこちお参りをすれば、無病息災、商売繁盛、夫婦円満、家内安全、大願成就、開運招福まちがいなしに違いない。
さ、今夜はO浦さんに紹介してもらった居酒屋「北のきつね」で直会といってみっか!
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P_20160912_182427某ホテルから勝手にお借りした傘を差しながら、雨のニシタチをぶらついていたら、ふとギネスビールの看板が目に止まった。
ふだん旅先じゃ居酒屋ばかりだが、ここはひとつシャレオツに、アイリッシュ・パブといってこましたろか。
といっても、英国式パブとちがって、肩肘張らないのがアイリッシュ・パブ。
さしずめあちらの居酒屋ってわけだから、気楽に飲める。
マダムが近頃口癖のようにつぶやく「アヒージョ」なるものも、メニューにあるらしい。
アヒージョがあるってだけで、マダムはすっかり乗り気である。

fast-food_2それにしても、日本人ってヤツぁよくぞこうも次から次へと目新しい食い物に飛びつくね。
米原万里さんがグルメ・ブームのことを「まるで発作のようにどこか落ち着きのない」といっていたのが、わかる気がするわ。
イタメシとか言ってパスタやピザを喰らってたと想えば、韓国料理にのめり込んで、お次は地中海料理ときた。
で、その合間には、おフランスや中華も食い漁り、もちろん自国においては一流料亭から田舎料理、山の手から下町料理まで満遍なく食いまくっている。
食も文化だってぇのには異論はないが、少しは落ち着いて味わえよと言いたくなる。
おれたちが子供の頃はなぁ、毎日煮しめと漬物と納豆と・・とまぁ、歳を取ると自分を棚に上げて、ささいなことにも小言を言いたくなるらしい。

で、この小洒落たアイリッシュ・パブに入って勢い込んで「アヒージョ!」とオーダーしたマダムを待っていたのは、店員の「本日切らしております」の無情なお返事。
20160914192024マダムのテンションが一気に下がっていくのであった。
ま、こちとらアヒージョがなかろうが、あしたのジョーがいなかろうが、旨い酒がありゃあ文句はない。
ふだんここいらじゃお目にかからないキルケニーやらマーフィーの黒ビールをおいしく飲ませていただいた。
つまみにもらったシーザー・サラダや薄焼きピザ、海老のフリッターなんてのも大変美味しゅうございました。
それにしても、ここ宮崎ってぇのは、なんとなく落ち着きのある町ですこと。
町中にのほほんとした空気が流れている気がする。
三宅伸治さんのライブ・スタイルのベースがわかったような気がするね。

ひとしきり飲み喰いして、腹も肝臓も落ち着いたことだし、本日はこれで潔く退散することにした。
なにしろいろんなことがありすぎて、おつむも体も満タン状態だ。
それにしても、よく歩いた一日だった・・・。

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