泥酔亭の成り行き日記

2018年02月

日本酒c2去る2/17(土)午後七時より、ディランの冬の恒例行事「全国の地酒を楽しむ会」が開かれた。
今回で十二回目になる。
毎回「四国四県味めぐり」とか「近畿、東海の地酒味くらべ」などと地域を決めてきたが、今回は初心に戻って「しぼりたて新酒飲みくらべ」という風にしてみた。
最初は2月はヒマな時期なのと、自分の誕生日もあるため、どうせなら好きな日本酒とそれに合うツマミで一杯やろうというのがそもそもの始まりだった。

最初のころは全国あちらこちらから山海の珍味を取り寄せたり、自分で調理をしたりしていたが、あまりに忙しいので仕出しを頼むことにした。
日本酒の好きな「板垣鮮魚」さんに刺し身を盛り合わせてもらったり、ここ何回かは「仕出しのひる川商店」さんにおつまみの折り詰めをお願いしたりしている。
どちらも芦別の老舗だけあって、お客さんの評判もすこぶるいい。

肝心の酒も北は秋田県から南は熊本県まで十二種類のしぼりたて生原酒。
特別本醸造、おりがらみ、山廃純米、吟醸と種類もバラエティに富んでいる。
DSC_0303今回は珍しく、九州の酒が三種類も入っている。
お客さんが「九州にもこんなに酒蔵があるんだ・・・?」と驚いていたが、何年か前までは焼酎王国鹿児島が日本で唯一日本酒を作っていない県だったが、約40年ぶりに焼酎メーカーが日本酒を作り始めた。
これで北海道から沖縄まで、どの県にも日本酒の酒蔵があることになった。

ってなことで、いつものご常連さんから、初めて参加する人まで、定員いっぱいの27人
いつも思うことだが、酒の種類によって酔い方が違う気がする。
日本酒はなんとも大らかに和やかに酔っていくようだ。
たまたま隣り合った人とも気さくに打ちとけながら、楽しい宴は過ぎていった。
12本の一升瓶はほとんどが空になっていた。

で、陽気な酒呑みたちは三々五々、夜の巷に散っていったとさ・・めでたしめでたし。

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251551960去年はとても親しいお客さんが、3月と11月に亡くなった。
享年はどちらも六十代の後半
今の日本では早過ぎるといえる年齢だ。
そしてどちらも死因はガンだった。
方や肺がんと方や食道がんだったが、二人とも入院して三ヶ月も経たずに亡くなってしまった。
仮にIさんと、Hさんとしておくが、二人ともとても親しくしていただき、Iさんなどはほとんど毎日通いつめてくれた。
あまりに突然の訃報だったので、実感のわかないまま今日まで来たが、今ごろになって不在がかなりこたえてくる。

もはや国民病ともいえるガン。
二人に一人はガンになるご時世だとか。
新しい治療法も続々と発表されるし、民間療法も百花繚乱のにぎわいだ。
・・が、ガンの方もなかなかに手強く、いまだこれといった決定打は見つかっていない。
現場にいる医師たちも、なんとかしたいという思いはあっても、どうにもならないというのが本当のとこだろう。
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lif1712300009-p2「AERA」という雑誌が今年、医師たち553人に行ったアンケートがある。
Q1の「特にかかりたくないと思うガンは?」は「第一、二期」「第三、四期」ともにすい臓がんがトップ。
理由は「効く薬がないから」「治療がしんどい」「現時点で有効な治療手段がない」だった。
で、選ぶ治療法のトップは、心身の苦痛を和らげる緩和ケアが56%
次いで化学療法の16%放射線と化学療法の併用が15%とほぼ同じ割合。
意外にも手術は8%だった。
年齢や体力、進行状態などにもよるだろうが、体にかかる負担のわりには効果が期待できないということなのだろう。

いくら文明が発達しても、人間が永遠に生きるような日が来ることはない。
またいくらなんでもそんなに生きた日にゃ誰だって退屈してしまうに違いない。
限られた寿命だからこそ、この世界が素晴らしく感じられるのかもしれない。
亡くなってしまった人の分までなどと大仰なことは考えないが、健康でいられる「いま」を楽しみ、故人を思い出すのが一番の供養かもしれない。

今でも店をあけると、ふたりがドアを開けて入ってくるような気がする。
ホントに来たら怖いけど・・・。

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