泥酔亭の成り行き日記

2018年06月

観光客で賑わうフィッシャーマンズ・ワーフを横切り、「夢彩都」なる大きなショッピングセンターに入った。
マダムは、なにやらファッション系のお店を物色。
こちらは商売柄、食品売り場をうろつく。
鮮魚コーナーでは、北海道じゃ見たこともないような魚が並んでいる。
「かつお」「いさき(こちらじゃあまり出回らないけど)」あたりは、わかるとして「ホウジョウミナ」「あらかぶ」「モダマ」「めっき」「しじゅう」となると、さっぱり見当もつかない。
いつかキッチン付きのコンドミニアムでも借りて、これらを色々と料理して食べてみたいものだ。
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ひとまずマダムの物色も終わったので、今宵の食料を調達する前に、ついでに土産も買い込むことにした。
この頃はお土産屋に行くよりも、地元のスーパーに行った方が、安くて面白いものが手に入るので、もっぱらこのやり方でやっている。
スーパーには段ボールもあるし、宅配もやってもらえる。
ああでもないこうでもないと色々選び、ここから自宅に送りつけた。
で、めぼしい総菜と酒を仕入れて。長崎駅前のバスターミナルから長崎空港へ向かった。
もちろん移動中でもアルコールの摂取は怠りない。
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IMG_1395待ち時間が少しあるので、空港内をうろうろしていたら「五島うどん」ののぼりが目に留まった。
最初の目的地は五島列島だったことを思い出したので、行ったつもりで五島うどんなるものを食べようということになった。
なんでもメニューには「五島手延うどんは幻のうどんとも呼ばれ、日本三大うどんの一つにあげられています。地元特産の椿油、県内産の天然塩を使用しており、モチモチとした歯ごたえと喉ごしの良さが特徴です。」などと大仰な言葉が並んでいる。
そういや前々回の旅では、香川の讃岐うどんも食べたし、2010年には秋田で稲庭うどんも食べている。
IMG_1396ここで五島うどんを食べれば、日本三大うどん完全制覇ってな偉業?の達成だ。

うどんにはおでんといなり寿司が付いているというので、それを肴にまたもやビールを注文
この一杯が長崎での最後の一杯と思うとことさら美味しく感じる。
で、待望の五島うどんの味はどうだったかというと、食べ始めたらすぐ館内の呼び出しが入り、出発時間になっても来ない二人(われわれ)を実名入りで呼んでいる。
ってことで、急いでかき込んだせいで、まったく味わえませんでした・・・無念。

あたふたと勘定をすまし、係員にせっつかれながらやっとのことでご搭乗。
心なしか冷ややかな乗客の視線を軽くいなしてすぐさま眠ったふりをする。
まるでわれわれの搭乗を待っていたかのように、エア・コミューターは長崎空港から無事飛び立ったのであった。
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350px-Nagasaki-daijingu_001マダムの長崎来訪最大の目的、平和記念公園のあと、ほかに行きたいところはないかと聞くとどこもないという。
グラバー邸も軍艦島もハウステンボスもさっぱり食指が動かないという。
強いてあげればなぜか「眼鏡橋」を見てみたいというので、「公会堂前」で下車して、眼鏡橋方面へ向かった。
P_20180514_100908スマホの地図をたよりに歩いていると、「長崎大神宮」というのが目に留まった。
近くには「諏訪神社」という大きな神社はあるのだが、このあたりは商店と一般の家が建ち並んでいて、とても「大神宮」などという大げさなものは見えない。
それでも地図を頼りにその場所へ行ってみると、鳥居があり小さな階段の上に社があった。
驚いたのは、神社の下が車庫になっていることだった。
こんなのもアリか?と、中をのぞくと、どうも奥の方にも停められるらしくここが神社の駐車場のようだ。
人生色々、神社もいろいろですこと。
で、旅の安全、その他諸々を祈願して眼鏡橋へ向かった。

日差しはどんどん強くなり、歩いているだけで汗ばむほどだ。
するとパッと視界が開けて、写真で見なれた眼鏡橋にご到着。
川の流れってのは見ているだけで涼しくなってくる。
向こう岸へ渡ったり、橋の上から写真を撮ったり、眼鏡橋を堪能したマダムは次の目的を思い出した。
それは「チャンポン」!!
数多い長崎名物の中でも、トップクラスに位置する名物だ。
ってことで、中華街方面に移動する。
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P_20180514_111256事前に教えてもらっていたチャンポンの美味しいお店は、残念ながら今日月曜日が定休。
ガイドブックを見ると、スープにも色々あり、豚骨百%から鶏や魚介のスープとのミックスまでと色々だ。
こちとらとしては、豚骨はあまり得意ではないので、出来るだけあっさり目の店を探した。
そこでヒットしたのが、中華街から道一本はずれたところにある「福寿」
席に座り「チャンポン!!」と頼んだら、とつぜんマダムが「わたしチャーハン!!」
おい!!チャンポン食べにきたんじゃなかったのか?
中華と聞いて急にチャーハンが食べたくなったらしい。
まったくマダム心と爆弾低気圧だ。
初めて食べた本場の長崎チャンポンは、上品なスープとコクがありとても美味しいものだった。
ちなみにマダムのチャーハンも大変美味だったらしい。
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さて腹も落ち着いたことだし、どっか海の見えるところでひと休みしようってんで、「水辺の森公園」へ向かった。
木陰のたくさんある公園は、気持ちのいい風が吹いていて、昼寝する人、自転車に乗る人、散歩する人などが思い思いの時間を過ごしていた。
海には外輪船や帆船が浮かんでいて、長崎気分満開だ。
さて、ひと休みしたら、今夜の食料を調達しなれば・・・。
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なにしろ今夜の宿の取り柄は、空港から近いというだけで、近くに食事できるような店は見当たらない。
昨夜の豪勢な晩餐とは180度違う夜になりそうだ。
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P_20180514_082136Mさんと別れたあとは、身も心も胃袋も肝臓も満杯になったので、若い頃のようにはしごはせず、ホテルにまっすぐご帰還ののち就寝。
翌朝ロビーで路面電車の1日乗車券、金五百円也を二枚購入。
荷物を駅のロッカーに入れ、まず向かうは長崎平和公園。
今日は暑くなるらしい。

P_20180514_150852松山停留所で降り、道路を渡り、長いエスカレーターを上っていくと、遠くに平和祈念像が見える。
いろいろな国から贈られたモニュメントを横目で見ながら歩いていると、どんどんと町の音が消えていくような感覚に襲われる。
広島でも感じたことだが、まるでここだけ時間が止まっているかのようだ。
個人から国家まで、いつまでたってもなくならない争いごと。
今も多くの人たちが理不尽な暴力にさらされている。
この場所にいると、とにかく平和を祈ることしかできないことが歯がゆくなってくる。
大きなことは出来ないが、まずは自分のまわりから諍いごとを減らし、平和な場所を作るしかないのか。
まったく答えの出せないまま、近くの爆心地公園でもお祈りをさせていただいた。
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tankしかしいくら戦争とはいえ、どんなつもりでこの悪魔のような爆弾を、同じ生きている人間の上に落とせたのだろう。
しかも非戦闘員である一般市民の上に・・・。
その後も反省するどころか、それをはるかに上回る破壊兵器を各国競うように開発し続けている。
迷彩服を着て戦車の上から無邪気に手を振る、わが被爆国の指導者はどのツラ下げて慰霊祭に出席できるのか?
長崎市長の怒りももっともだ。
放っておけばまた「あやまちを繰り返」しそうな危うさを感じる。

さて、長崎訪問の第一の目的を果たしたので、また路面電車に乗りひとまず町場の方へ向かう。
太陽はどんどん輝きを増して、気温はさらに上がっている。
でもなぜか「あつい」という言葉を使うことが出来なかった。
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