泥酔亭の成り行き日記

2019年12月

IMG_20190515_183904宿に戻ってうつらうつらしていると、「お食事できましたよ」と息子さん(50代?)が呼びに来た。
どうもこの宿は、昼間会った大女将さん(80歳超え?)と大旦那さん(二度ほど対面)と二人の息子さんで(どちらも50代?)で切り盛りしているようだ。
夕食も息子さんが作っているらしく、忙しそうに立ち働いている。
料理も手慣れている様子で、山海の珍味が盛り沢山
「すごい豪勢ですね」というと、「宿が古いんで食事だけでも喜んでいただきたいと思って」と言っていた。
ふと戸棚の上を見ると、見たことのない「キンカメ」という酒が置いてあるので、それを熱燗でいただく。
息子さんによると、姫路城を別名白鷺城というように、彦根城の別名は金亀(きんき)城というそうだ。
料理はどれも酒に合う味付けで、酒坏が進むこと。
胃袋も肝臓も大満足の彦根の夜でした。
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IMG_20190515_180353鴉カァで夜が明けて、マダムは「24時間沸いているっていうから」といって朝湯と洒落込んだ。
こちらも洗面所で顔を洗っていると、そのうしろが浴室なので、ついでにってんでご入浴。
運転でもなけりゃ朝酒とでもいきたいところだが、レンタカーを返さなきゃいけないので、そうもいってられない。
チェックアウトの時間まで、宿においてある無料の貸し出し自転車でウロウロしていると、いきなりモダンな町並みにぶつかった。
昨日足を向けなかったあたりが、「四番街スクエア」として再開発されたらしい。
キャッチフレーズは「大正ロマンあふれるまち」。
くぅ〜昨日知ってれば・・・・。
ついでといっちゃなんだけど彦根城のまわりも散策する。
城下町ってのはなんとも良い風情ですこと。
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宿に戻り勘定を済ませて(なんと一泊二食二名合計¥12,960!)、レンタカーを返却。
あとはセントレア空港から北海道へ戻るだけだが、飛行機の時間は15:15
神宮前で途中下車して、お参りでもしようかと熱田神宮の近くを歩いていたら、「鰻 大和田」と書かれた看板が目に入った。
信心と鰻をはかりにかけりゃ、鰻が重たい伊藤家の常識・・?
で、飯にしようかとも思ったが、ここはやっぱり肝焼きにビールと熱燗
締めでうな丼をかっ込んで、大満足。
それにしてもどこへ行っても鰻喰ってるなぁ、この夫婦。
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ってなことで、無事セントレア空港に到着し、機上の人と相成った。
長いようであっという間だった敦賀、美浜、彦根の旅。
今回も色々な思い出ができました。
さ、来年はどこに行くべか?
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17879620いったん宿に戻り、宿の近くを散策する。
もう今日は車に乗ることはないので、陽のあるうちから一杯やることもできる。
ってんで、小腹も減っていたことだし「グリル フレーバー」にご入店。
店の前の商品サンプルに惹かれて入ったが、店内もなかなかの昭和テイスト。
しかもメニューには本格的な洋食が並んでいる。
とりあえずビールを頼み、「エビグラタン」「特製カレー」「海老のグリル」を注文。
本格的な洋食店とかいいながら、オーダーするのはほとんど食堂メニュー・・・。
なんとも小市民な夫婦ですこと。
でもどの料理も歴史を感じさせる深い味わいでございました。
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IMG_20190515_170717無事アルコール摂取の儀も終えたので、疲れたというマダムを宿に残して、歩いて三分ほどの銭湯へ向かった。
行く前に少しこの「山の湯」の下調べをすると、創業は明治十二年
失業者に職を与えるために建てられたらしい。
現在ここを守っているのは、四代目故奥田庄喜さんの妻、良さん(82)
ここの売り物である薬湯は、彦根城の元御典医から教えられたという秘伝の配合だという。
五代目古今亭志ん生がひいきにしていたという谷中の「世界湯」も、われわれが入ったあと長い歴史を閉じてしまった。
こういう歴史ある銭湯は見つけたならば必ず入るべし!
と、言ってる間にいまネットで検索したら、「山の湯」は八月末に廃業していた。
オーマイガッ! 入っておいてよかった・・・。
ふと2016年に入った倉敷の「えびす湯」も気になって検索してみたら、こちらの方は現在も営業しているようで安心した。

IMG_20190515_175305この時点では、三ヶ月後に廃業するなんてことは夢にも思わず、「山の湯」の歴史ある佇まいに見とれていた。
のれんをくぐると、そこは昭和の銭湯そのもの。
まるでアンティーク家具のような番台、十円あんま機、竹の脱衣かご、レトロ体重計、牛乳ケース・・・
ドラマのセットなどでは決して作ることのできないリアルな昭和のオンパレード。
ご幼少の頃を思い出すわ。
ってことで、件の薬湯も十分に堪能させていただきました。

タオルを肩にかけ、風呂上がりのほてった体を五月の心地よい風で冷ましながら、宿へ帰った。
ありがとう山の湯。
立川談志いわく「銭湯は裏切らない」。
へい、ごもっとも!

さて晩飯までひと眠り。

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DSC00770醒井駅に隣接している「水の宿駅」なる施設に車を停めてさっそくあたりを散策する。
いかにも中山道の宿場町といった風情の建物が軒を連ねている。
少し歩くとお目当ての堀があり、中を清流が流れている。
天気もいいので、水面がキラキラして美しいことこの上ない。
水の流れを眺めながら、しばらく歩くと波の中に梅花藻らしきものが見えてきた。
5月中旬から、というから時期的には少し早いようだが、たしかにきれいなものだ。
さらに歩くと、「腰掛岩」という看板が出ている。
なんでもヤマトタケルノミコトが、伊吹山の神に氷雨を吐かれ人事不省におちいり、やっとの思いでたどり着いてここの水を飲んで回復したときに腰を掛けた岩だそうだ。
それでこの水を「居醒(いさめ)の清水」と呼んだという。
小さな鳥居の上には、右手を高く差し上げたヤマトタケルノミコトの像が立っている。
「元気になったぞぉ」っていうポーズだべか・・。

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敦賀に向かう電車から眺めた伊吹山だが、たいがいは白い猪が伊吹山の主となっている。
しかしここ醒井の看板では大蛇ということなっているのが不思議だ。
ま、それはさておき、せっかくなので「賀茂神社」にも参拝させていただく。
長い石段を登るとL字型に曲がり、そこからもまたさらに長い階段がある。
が、以前倉敷で登った阿智神社の182段の階段に比べれば子供だましのようなものだ。
御祭神は別雷神命(わけいかづちのみこと)、雨・治水の神、農業の神として信仰されているという。
参拝をすませ、来た道を戻りながら、宿場町の風情を堪能する。
北海道にはもちろん宿場町もなく、お堀もないので、こういう歴史ある町並みを見ていると少しうらやましくもなる。

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ってなことで、梅花藻に別れを告げて、来た道を彦根に向けて戻ることにした。
途中立て看板が目に止まったが、そこには「番場宿」と書いてある。
長谷川伸でおなじみの番場の忠太郎の生まれ在所か・・と、マダムに聞いたらまったく知らないという。
日本人に生まれながら長谷川伸を知らんとは・・・。
昭和は遠くなりにけり、とか言ってるうちに、無事彦根にご到着。
宿にも風呂はあるというが、近くに昭和銭湯を見つけてあるので、そこで旅の垢でも落とすとするか。
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IMG_20190515_114550ナビの示すあたりをウロウロしても、どうにもそれらしいものは見つからないので、郵便局に寄って自宅へ荷物を送ることにした。
ダンボールに詰めてあった土産や洗濯物を窓口に出すと、「中身はなんですか?」という。
「品名」の欄には「衣料品他」と書いてあるが、できるだけ詳細に書いてくれという。
なぜか北海道と沖縄に送るものは、警戒が厳重らしい。
しかたがないので欄内一杯にできるだけ詳しく書いて、やっとOKが出た。
リチウム電池はいけないというのは聞いたことはあるが、ほかにはなにがいけないんだろう?
しかも北海道と沖縄だけ・・・。

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IMG_20190515_114634で、ついでだから名水の湧き出ているという「十王村」の場所を訪ねたら、やはりこの近くだという。
教えてもらったとおり行ってみると、住宅地のど真ん中に、コンコンと湧き出ているではないか。
名水の里と言われているところは、いろいろと行ったけど、これほど町の真ん中にあるのは初めてだ。
池には小さなお堂があり、立て札を読むと「祀られているのは竜神だと思われるが、いつのまにか地蔵尊が祀られている」と書いてある。
なんともアバウトな信仰ですこと・・。
池の中には真っ黒い鯉が何匹も泳いでいた。
ひとまず地蔵様と龍神様と水神様と鯉にご挨拶をして、水を汲ませていただいた。

持参していたペットボトルに御神水を汲んで、鳥羽や旅館へ向かった。
出迎えてくれた大女将さん(推定八十歳超え)の案内で、二階へ上がると、そこはまるで「男はつらいよ」に出てくる昭和旅館の風情。
館内を案内してくれたが、トイレや風呂はきれいにリフォームしてある。
荷物を解いて、さっそく車に乗り、次の目的地「醒井宿(さめがいしゅく)」へ行くことにした。
米原にあるという醒井宿は、中山道61番目の宿場町で、宿屋を切り盛りしていた問屋場(とんやば)が当時のまま残っているという。
しかし目的はここを流れる清流「地蔵川」の「梅花藻(ばいかも)」を見ることだ。
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梅花藻は5月中旬から8月下旬にかけて咲く珍しい水中花だ。
この植物は水温14℃前後の清流でしか育たない貴重な花で、テレビで一度見てからぜひ一度実物を見たいと思っていた。
米原を通過して二十分ほどすると、醒井宿に到着。
天気もいいし、きっときれいな梅花藻が見られるに違いない。
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釣り鯛、あじ、あおりいか他宿についてひと休みしている間に雨はどんどん強くなっている。
ここ「はっとり」は漁師の宿とうたっているとおり、主人が船を持っていて、釣り目当てのお客さんが訪れる。
玄関や廊下にはたくさんの魚拓が飾られていて、その大半は鯛だったが、いわゆる目の下三寸といわれる大物ばかりだった。
女将さんの話だと昨日までそんな釣り人でいっぱいだったが、平日のせいか今日の客はわれわれだけとのことだ。
おかげでゆっくりと静かに過ごすことができる。

で、ほどなく食事の時間になり、次の間に行ってみるとそこには鯛の姿盛りをはじめ、石鯛の煮付け、さわらの酒蒸しなど三方五湖の魚介がこれでもかと並べられていた。
酒はもちろん先ほど伺った「早瀬浦」をお燗でいただく。
料理の方は旦那さんが作るというが、どこかで修行したのかと思うほど本格的な味付けだった。
とうぜん酒も大いに進み、すっかり大満足。
昨夜の「ほっこり酒場」の出来事が遠い過去のようだ。
身も心も腹もきっちり満たされて、極楽気分で床についたら、あっという間に熟睡。
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IMG_20190515_083248目が覚めると雨はすっかり上がって、窓の向こうには美しい日向湖が広がっていた。
朝食をすませ、宿をあとにしたが、とうとうご主人とは合わずじまいだった。
ってことで、本日は琵琶湖を巡って彦根に向かう。
天気は晴朗、波もおだやか、絶好のドライブ日和だ。
国道8号線を南下すること約一時間、長浜市を過ぎたあたりで右手に琵琶湖が見えてきた。
国道脇の公園に車を停め、日本一の湖にご挨拶。
竹生島や浮御堂など立ち寄りたいところもいろいろあったが、今回はパスして彦根に向かう。
また機会があれば、琵琶湖を一周するのも楽しいかもしれない。
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今夜のお宿は彦根城下花しょうぶ通りにある「鳥羽や旅館」
料理屋として創業したのは江戸時代、その後明治十三年から旅館として営業している。
宿へ行く前に、彦根にも名水の湧き出ている「十王村」というところがあるらしい。
すっかり名水マニアになったマダムに教えると、ぜひ訪れたいという。
ナビに住所を入力して向かったが、どう見ても住宅地のど真ん中
ほんとにこんなところに名水が湧き出ているんだべか?
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