良くも悪くも頭に血が上って興奮すると、昔から本やCDを買い込んでしまう癖がある。
原発のおかげでとんだ出費だわ。

CDはジム・モリソンの「マジック・タイム」とブルースの二枚組オムニバスですんだが、本は一気に四冊買ってしまった。
そのほかにも図書館で二週間に一度、十冊ほど借りてくるので、寝床からトイレ、茶の間まで読みかけの本でとっちらかってる。

で、今回買った本はこれ。
hana
「暮しの手帖」初代編集長花森安治「一千五厘の旗」
ある雑誌でその一部を見て、衝撃を受けた。
「暮しの手帖」といえば、スポンサーに頼らない姿勢で、つねに消費者、そして庶民の立場に立って生活に役に立つ情報を載せている浮ついたところのまったくない本だ。

この「一千五厘の旗」の一千五厘とは、その当時のはがきの値段だ。
軍隊に入ったとき教育係の上等兵が「貴様らの代わりは一銭五厘で来る。軍馬はそうはいかんぞ!」と突然怒鳴った。
兵隊など一銭五厘のはがきでいくらでも招集できるという意味だ。
「そうか僕らは一銭五厘か・・・そうだったのか。
そういえば怒鳴っている軍曹も一銭五厘なのだ。
一銭五厘が一銭五厘を怒鳴ったり殴ったりしている」。

今回手に入れたこの本にはいたるところに、珠玉の言葉たちが散りばめられている。
そのどれもが庶民の目線から権力者に対しての鋭い批判になっている。
これからゆっくり読むのが楽しみな一冊だ。

で、次はこれ。
kazu
秋田が生んだフォークの鬼才「友川カズキ」の歌詞集。
思えばディランで初めてプロのライブをやったのが、この友川かずきだった。
高田渡、なぎら健壱と並ぶフォーク3大酒豪の一人の噂にたがわず、本番前から浴びるように酒を飲み、秋田弁丸出しの歌を吐き出すように熱唱してくれた。

この人も花森安治同様、権力というものに一切おもねることをしない。
一時期絵のほうでかなり注目されたが、「だんだん買ってくれる人はいい人、買ってくれない人は嫌な人に思えてきて」描くのはやめたらしい。

今はもっぱら競輪で生計を立てているらしい。
独特の世界にコアなファンも多く、このあいだフランスの映画監督ヴィンセント・ムーンにより「花々の過失」という映画も作られた。

この本にはDVDも付いているので、今度マダムも町も寝静まった頃、こっそり見てみよう。
名曲の数々の中に大好きな「ワルツ」も入っている。

「ワルツ」
晒すのは恥しかない
ありのままあらん限り
血肉とて いつかは
皮膚を出て不明になるのだや

生きても生きてもワルツ
死んでも死んでもワルツ
出会いも出会いもワルツ
別れも分かれもワルツ


不世出の天才(天災)のひとりだ。