倒れた老人のもとからそそくさと逃げ出すように走り去った黄色いシエンタの男、として指名手配されることもなく、第五回三遊亭小圓朝独演会も無事終了した。
それにしてもなんであの現場にパトカーが来てたんだべ?
あのおじいさん頭を打った勢いでつい「はねられた・・あいつに」とかいってたりして。
倒れた現場には他に目撃者もいなかったし・・・。
叩けば何かしらホコリが出そうな身としては、ちょいと脇の下に汗をかいたわ。

koen1101さて今回の小圓朝師匠、早くから音響をセッティングをした割に会場にお出ましになったのは、開演の15分ほど前。
もちろんリハーサルなんざ野暮なものはナシ。
しかも6:00開場のはずなのにお客さんが入り始めたのは、5:30・・・
いくら芦別市民が抽選好きでも早すぎないか?
そう!今回は五回目を記念して、来場のお客様に手ぬぐい、扇子などの記念品が抽選で当たる趣向となっている。
抽選があれば、たとえ台風の中でも野外ビアパーティーに出かけていく芦別市民の皆様。
開演の1時間前なんぞ何ほどのことでもない。

待ちかねたお客様の前に小圓朝師匠登場。
一席目は関西弁の言い立てが決めての「金明竹」。
早口でまくし立てる言い立ては、与太郎やおかみさん同様わからない人が大半だと思うので、ここに「道具七品」を書いておきます。
1.祐乗光乗宗乗三作の三所物、刀身は備前長船の則光、横谷宗眠四分一拵え小柄付きの脇差。
2.のんこう茶碗。
3.黄檗山(おうばくさん)金明竹の自在。
4.遠州宗甫の銘がある寸胴の花活け。
5.風羅坊(芭蕉)正筆の掛物。
6.沢庵木庵隠元禅師はりまぜの小屏風。
7.織部の香合。

koen1102さてお次は、林家木久翁門下、弓道四段の林家久蔵師匠
弓道をやっていたので「久蔵となったが柔道だったら重蔵だったのか?もしアフリカ探検クラブだったらアフリカ蔵・・」で、開場は大受け。
木久蔵ラーメン盛衰記」のあとは、木久翁師匠のおはこ林家彦六のモノマネを披露。
歳のせいで右膝を痛めたとき医者が「お年のせいです」といわれた彦六師匠は「でもね先生、左膝も同い年ですよ」といった話など、さすがエピソードに事欠かない。

で、演目は「勘定板」。
お手洗い、便所、厠、雪隠、ご不浄、いろいろ言い方はあるが、ある地方では大きい方の用を足すことを「勘定する」といったそうな、で始まる噺。
そのテの話が好きな?お客さんは腹を抱えて爆笑しておりました。

koen1103十分ほどの中入り後、トリを務めた小圓朝師匠の演目は「辰巳の辻占」という軽めの設定。
いつの時代も、男のうぬぼれを手玉に取る女はいるってことで、大変勉強になりました。

遊女が心中するふりをして「じゃあたしが勢いつけてあげるね」といって「南無阿弥陀仏 ひのふのみぃ!」という場面では、前の方に座ってた浄土真宗のご住職がニヤニヤしていた。
やっぱりこの場面は「南無阿弥陀仏」が似合うのかね?

で、皆様お待ちかねの抽選会。
手ぬぐい、扇子のほか、話題の木久蔵ラーメンも当たるってんで、みなさん大喜び。

ってなことで、今年も無事「三遊亭小圓朝独演会」も終了。
落語には人間のすべてがあ描かれている」といったのは、立川談志だったか?
道徳も常識も親不孝も酒飲みもなまけものも、教訓も人情も無常もドロドロに溶け込んだ人生スープ。
それを味わえる落語の世界。
今年もしっかり楽しませていただきやした。
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