michi1105いつもより遅い冬はミチロウさんとともにやってきた。
打ち上げも終わりミチロウさんを送って表に出るとすでに5cm位の雪が積もっていた。

するとミチロウさんは荷物を下ろし真っ白な雪の上に刻みつけるように、足あとでスターリンのマークを残した。
たぶん五分も経たないうちに消えてしまうだろうけど、たしかに刻まれたミチロウさんの足あと。
下水のフタとフタの間に描かれたつかの間の足あと。

この足あとのように、どんなことも次から次へと降り積もる時間の中に消えていく。
しかしこの足あとのように、今夜のライブはその場にいた全員の心に深く刻まれたことだろう。
それほどこの日のライブは壮絶なものだった。

いまだに放射能をまき散らしている福島の原発。michi1103
二本松で生まれ育ったミチロウさんの気持ちは、とてもわれわれには推し量れない。

MCで「母親に東京へ越してきたら?」といったら「それより来年はお父さんの17回忌だから絶対帰っておいで」といわれたといって笑っていた。
色も匂いも形もない放射能の恐ろしさというのはそういうことだ。

御用学者やマスコミに手を回し、「この程度なら安全」というデマを流し続けて、事件にすることもないどころか税金で助けようとまでする始末。
何百ぺん「FUCK!!」と叫んだところでとても収まるものではない。

象徴的なドアーズの「The End」のオープニングSE。
michi1106一曲目「月食」から静かにライブは幕を開けた。
そこから「天国の扉」まで息もつかせない20曲。
そして三曲ものアンコール。
たくさんの新曲のほか聴きどころだったのは、三上寛バージョンの「夢は夜ひらく」と友川かずきの「ワルツ」。
生半可にはカヴァーできないこの曲を見事に自分のものにしていたのはさすがだった。
「つくづく因果な商売を選んでしまった・・・」とMCでいっていたが、また「このごろ歌うのが楽しくなってきて」ともいっていた。

 リハーサルが終わったあと、いつもの様に二人でコーヒーを飲みながらいろいろなことを話したが、今回は健康の話が多かった。
モンスターといわれるミチロウさんもさすがに還暦を超えてからは無理が利かなくなってきたといっていた。
自転車のように走り続けないと倒れてしまいそうになるが、無理な走りはできない。

「やりすぎないようにやり続けるしかないね」と笑っていたが、この夜のライブは理不尽にのしかかってくる様々なものを、強靭な意志で押し返すような感動的なものだった。
その壮絶な姿に何度も目頭が熱くなった。

今まであまりミュージシャンと一緒に写真を撮ることはなかったが、これからは少し残していこうと思っている。
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