251551960去年はとても親しいお客さんが、3月と11月に亡くなった。
享年はどちらも六十代の後半
今の日本では早過ぎるといえる年齢だ。
そしてどちらも死因はガンだった。
方や肺がんと方や食道がんだったが、二人とも入院して三ヶ月も経たずに亡くなってしまった。
仮にIさんと、Hさんとしておくが、二人ともとても親しくしていただき、Iさんなどはほとんど毎日通いつめてくれた。
あまりに突然の訃報だったので、実感のわかないまま今日まで来たが、今ごろになって不在がかなりこたえてくる。

もはや国民病ともいえるガン。
二人に一人はガンになるご時世だとか。
新しい治療法も続々と発表されるし、民間療法も百花繚乱のにぎわいだ。
・・が、ガンの方もなかなかに手強く、いまだこれといった決定打は見つかっていない。
現場にいる医師たちも、なんとかしたいという思いはあっても、どうにもならないというのが本当のとこだろう。
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lif1712300009-p2「AERA」という雑誌が今年、医師たち553人に行ったアンケートがある。
Q1の「特にかかりたくないと思うガンは?」は「第一、二期」「第三、四期」ともにすい臓がんがトップ。
理由は「効く薬がないから」「治療がしんどい」「現時点で有効な治療手段がない」だった。
で、選ぶ治療法のトップは、心身の苦痛を和らげる緩和ケアが56%
次いで化学療法の16%放射線と化学療法の併用が15%とほぼ同じ割合。
意外にも手術は8%だった。
年齢や体力、進行状態などにもよるだろうが、体にかかる負担のわりには効果が期待できないということなのだろう。

いくら文明が発達しても、人間が永遠に生きるような日が来ることはない。
またいくらなんでもそんなに生きた日にゃ誰だって退屈してしまうに違いない。
限られた寿命だからこそ、この世界が素晴らしく感じられるのかもしれない。
亡くなってしまった人の分までなどと大仰なことは考えないが、健康でいられる「いま」を楽しみ、故人を思い出すのが一番の供養かもしれない。

今でも店をあけると、ふたりがドアを開けて入ってくるような気がする。
ホントに来たら怖いけど・・・。