IMG_1401翌日薄暗いうちから部屋を出て、うぐいすやらウシガエルやら名前のわからん鳥や獣たち?の声を聞きながら朝の大浜へ向かう。
風もほとんどなく、東の空がゆっくりと明るくなってくる。
聞こえるのは波の音だけ・・・と、あいかわらずの野鳥の声。
少しなら風情もあるってもんだが、ここまで鳴かれるとちとうるさい。
しかも大勢でこれでもかと鳴いているうぐいすは、どうにも海の景色に合わない。
うぐいすっていやぁ梅だろう!! どっかいけ!!

まぁ、しっかりと壱岐の島の壮大な朝日を堪能したので、次は一度宿に戻ってレンタカーを借りにいく。
で、おとなしく昨日と同じ道を通って帰ればよかったものを、「そういやぁ滑走路の反対側を通っても戻れるはずだし、途中もうひとつのきれいな浜もあるらしいし・・」なんて思いついて、昨日とは反対の道を行くことにした。
昨日通った西ルート?と違ってこっちの東ルートは少し遠回りになるが、まだ時間も早いし少し歩いた方がメシもうまいだろうってんで、うぐいすの声を聞きながら歩き出した。
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IMG_1408ところがこの東ルートの遠いこと遠いこと・・・いつまで歩いても滑走路の端までたどり着かない。
ようようのことで滑走路を回り込んだ頃には2人ともくたくたに疲れてしまっていた。
が、これから今歩いたのと同じ距離を戻らなければいけないのだ・・・。
しかもこのルート大きく回り込んでいるらしく、なんとなく空港から離れていってる気がする。
先ほどの朝日を見た時の高揚感はどこへやら、2人とも空クチを聞く元気もなくただ黙々と歩き続けた。
すると目の前に「空港方面」という小さな看板が目に入った。
「おっ!!こっちだ」といってその先を見ると、その先にはものすごい急な坂道が続いていた。
マダムがそれを見ると、うんざりしたような顔をして「ほかにも行き方あるんじゃない?」といってすたすた歩き出した。
IMG_1412で、このひとことがこれから延々と続く迷走の第一歩となったのだ。

陽はぐんぐんと昇り、気温も順調に上昇してくる中、だれもいない森の中を歩いているのは完全に道に迷った中年夫婦。
毛細血管のように入り組んだ田舎の道は、東に向かったはずがいつのまにか北に向かい、どうにもさっき見たような道に出てみたり、まるで天狗に化かされたかのようだ。
だれかに道を聞こうにも、薄暗い森の中には人っこひとりいない。
とそこに小さなほこらがあったので、こうなりゃ困った時のなんとやら、さい銭をあげて「なんとか宿にたどり着きますように」とお参りして、ふと祭神を見ると「猿田彦大神」とのこと。
天狗のモデルともいわれるこの神様は、道案内の神様としても知られている。
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こいつはなんとかなるかもと思い、明るい方を選んで歩いていくと、遠くから車が一台走って来た。
空港への道を尋ねると、目の前にある小高い丘のむこうが空港だった。
ってことは、空港のそばの小道をあっちこっち歩き回っていただけらしい。
遠くて近きは男女の中 近くて遠きは田舎の道・・・。
猿田彦大神さま、ありがとうございました!!
猿田彦